1945年、敗戦が決定的になった日本政府はポツダム宣言を受諾して太平洋戦争が終結すると直ちに、特殊慰安施設協会と称する事業を国家主導で開始した。この事業は、ポツダム宣言受諾直後から連合軍が上陸するまでのわずかな期間から急速に展開した。
全盛期には日本人女性7万人が売られた。この出来事は、終戦のどさくさで一部のヤクザが便乗したという程度のおだやかな話ではない。
国家の中枢にあった官民にわたる大規模な構造が、独占していた権力を利用して、国民から奪える限りのものを奪い、それを足掛かりに自らの財産や権力を温存し、さらに戦後日本に強い影響を残すことになったという話なのである。
国家権力とその取り巻きは、敗戦に至ってもなお国民を利用して経済的背景と強力な連携を確保し続けた。時代を下って現代に至るまで国家の中心に居座り続け、膨張しているその権力は、終戦のその瞬間であっても横暴だったのである。