「公共事業は儲からなくてよい」という間違い

公共事業の民営化が話題になると、こんな声も聞こえてくる。

『「老朽化で維持コストが今後膨らむ」ようなものを民間に任せれば上手くいくはずがない。普通は維持コストが膨らんで利益が出せないような事業だからこそ公共が負担するんじゃないのか?』

でも、普通って何だろうか? 続きを読む 「公共事業は儲からなくてよい」という間違い

公営事業の民営化のあるべきかたち

民営化という言葉を使うと、悪徳業者が荒稼ぎするイメージを持つ人もいる。そのような考え方は、ある観点では現実的であるが、本質的には間違っている。

ここ数年、政府が水道事業の民営化を議論しはじめている。『赤字だからと「国立大学」や「郵便事業」を民営化してきた国が今度は「水道事業」を民営化すると言い出した……』といって嘆く人もいる。だが、問題なのはそれらが「民営化された」ことではない、「ちゃんと民営化されなかった」ことなのである。

公的事業の民営化を議論するならば、完全に政治の干渉のない民間事業への移行を目指さなければ意味がない。

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縁故資本主義における窮屈な競争

政府の強制力によって自由競争を捻じ曲げると、法的許認可、政府認可、優遇税制措置、公共事業をいかに獲得するかが重要になってしまうことによって、縁故資本主義と呼ばれる状態が発達する。

本来の自由経済で見られるような自由競争は、消費者に選ばれる競争である。だが、自由な競争が阻害されてしまうことで発達する縁故資本主義に見られる競争は、権力に受け入れられるための窮屈な競争になる。 続きを読む 縁故資本主義における窮屈な競争

大企業にとっての雇用規制の効果

電通のような大手企業が、過労死するほどの状況でも人材を補充していかないのはなぜだろうか?

手厚い雇用保護の結果、人材が向こうからやってくる大企業にとっては、新卒採用で余計に人材を囲い込み、適合しない人材が勝手に辞めていくにまかせるのが効率がよくなる。というか、法的に解雇も減給も雇用主側からはできないから、従業員がしがみつく限りそうするしかない。

どこもかしこもそうするから、転職しようにもポストが少ないという状況がある。だから、労働者は仮にうまく順応できなくても新卒で採用された企業にしがみつく。結局、政府の雇用規制によって職業選択の自由が奪われてしまっているのである。 続きを読む 大企業にとっての雇用規制の効果

課税や規制といった締め付けによって、弱い労働者の取り分は増えない

課税や規制といった締め付けによって事業者を苦しめれば弱い労働者の取り分が増えるという期待は、いつの時代にも叫ばれるがかなうことがない。 続きを読む 課税や規制といった締め付けによって、弱い労働者の取り分は増えない

低賃金誘導政策

補助金を受け取った事業者があっちで安売りを始めたり、保育を無償化された主婦が低賃金でもOKな労働者として労働市場にでてきたり、助成金つかって老人や障碍者を雇用なんてしてて、そんなのと競争させられているわけだから。当然、賃金は抑制されるし、適材適所からも外れていく。これが、政府の低賃金誘導政策である。 続きを読む 低賃金誘導政策

そもそもスパコンに税金を使うべきか?

スーパーコンピューターを開発するベンチャー企業の社長が補助金詐欺で捕まった。予算獲得時の名目と異なる形で経費を支出し、それをごまかしたために詐欺罪に問われることになったのだという。

だが、素晴らしい技術を絶やすなとの声も聞かれる。自由に研究できなければ、世界と競争できない、もっと研究費の使途は自由でなければならないという人もいる。

ところで、そんなに素晴らしい技術なら、理解できて利益を回収する段取りができると思う人たちが出資してやったほうがよかったのではないだろうか?

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残業規制の帳尻合わせに殺される弱者

「時短ハラスメント」なる言葉が使われるのだという。

残業時間を減らせという圧力の一方で、生産性を確保できず、追い詰められる人が生じている。残業する前提で仕事をしていた人に、残業しないで同じ報酬をとれるような成果をだせというのだから、無理が生じるのは当然だ。 続きを読む 残業規制の帳尻合わせに殺される弱者

市場における「価格」の機能

市場における価格には、私たちの豊かさと複雑さを維持するための大切な機能があります。

需要が供給を上回れば価格は上昇し、その逆なら価格は安くなります。人々は自ずと価格が高いものを生産する動機を持ち、価格が安くなってしまったものの生産から撤退していく動機を持ちます。これが市場における「価格」の機能です。

人々の自由にまかせれば、あらゆる多様な選択肢が試されていきます。市場は、不足する需要を満たしながら、過剰な供給をそぎ落としていくのです。 続きを読む 市場における「価格」の機能