政府がヤクザを動員した歴史【アイク歓迎実行委員会】

日米安保体制の構築過程は暴力団や右翼団体と切って切り離せない。政府は、日米安保体制の構築の過程では、反対運動を「警備」するための警察官の数の不足を補うために、右翼団体やヤクザを動員した。

1960年、米国のドワイト・D・アイゼンハワー大統領の訪日前の日米安全保障条約の批准を予定していた。国民の反対の声は強く、連日10万人規模のデモが行なわれる状況にあった。自民党安全保障委員会は、右翼団体や暴力団の有力者と結びつき、テキ屋、旧軍人、消防団関係、宗教団体、右翼団体、暴力団などを動員し、左翼の集会に殴り込みをかけさせた。

実は、街宣右翼、広域暴力団の大規模化はこの頃から始まった。 続きを読む 政府がヤクザを動員した歴史【アイク歓迎実行委員会】

『神道指令』の原文と現代語訳;GHQはどのように公私を分離させようとしたか?

神道指令は、1945年に出された、GHQが日本政府へ向けた覚書(指令)である。現在の日本で有効な法律ではない。

GHQ統治下において「政教分離」がどのように条文化されていたのかを知ることができる。もちろん国家神道をターゲットとしているのだが、あらゆる「宗教、信仰、宗派、信条あるいは哲学」について国家の介入を禁止していることに注意してほしい。

とくに、公的な資金と宗教がなぜ厳密に分離されるべきとされていたのか、公私の区別をどのように設定し、公的資金の使途をどのように制限していたのか、分かりやすいと思う。

かな表記を平仮名にするとともに、表現を現代風にしたものと原文(日本語)を用意した。誤訳はあるかもしれない。

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国家の起こしたテロ事件『菅生事件』と破防法の成立

日本には警察が組織的にテロ事件を行った歴史がある。菅生事件も、乱暴な不正操作の一つとして挙げられる。

共産党員が容疑者とされた菅生事件という駐在所爆破事件がおきたのは、サンフランシスコ講和条約が発効した1952年のことだった。この事件は当初、共産党員による犯行とされた。この事件は、一か月後の破壊活動防止法成立を後押しすることになったのみならず、講和と同時に結んだ日米安保条約(内乱鎮圧条項を含んでいた)を正当化する口実として用いられた。

「主権回復」がさかんに宣伝された講和条約だったが、当初から権力固定のために政府による不正な操作が用いられていた。警察・政府による自演テロ事件は、政治的な対立勢力を削ぐために利用された。

犯人を擁する政党として名指しされた共産党は、それまで35議席あった共産党は直後の選挙では全議席を失った。選挙結果に大きなインパクト与えた後になって、法廷では被疑者の冤罪が立証され、さらに、警察当局によるでっちあげが立証された。

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トンキン湾事件、攻撃されないなら、攻撃を捏造すればいい

攻撃されなくても攻撃を捏造して反撃を正当化する、こうした手段は珍しいものではなく、歴史的に繰り返されてきた。

1964年、米国政府がベトナム戦争に介入する口実として、北ベトナムが一方的に魚雷攻撃したとでっちあげたトンキン湾事件もその一つだ。

この出来事は、日本とその隣国である韓国にとっても無関係ではなかった。当時、日本政府や韓国政府が体制を維持するためには、ベトナム戦争が起こることが必要だった。

同時期に結ばれた日韓基本協定は、東アジアの戦争経済を駆動するために機能した。戦争特需によって延長された高度経済成長が、その後の日本の経済構造を基礎づけ、韓国の朝鮮戦争後の復興を可能にした。

米国政府と米国に協力・依存する政府にとって、体制維持のために戦争経済が必要だった。トンキン湾事件は、いわば「国益」だったのである。

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難民支援と難民生産の関係

同盟国Aが同盟国Bに武器を売る。同盟国Bが民族Pを迫害して、民族Pは隣国Cに流出する。別の同盟国Dが隣国Cを難民支援する。Bは民族Qの自国移入を無制限に認めていて、Bからの民族Pの人口流出と民族Qの人口流入は同程度である。 悪いのはA~Dのうち、どれだ?

国家が奪い合いの道具として悪用されている。民族Qが暴力で民族Pを追い払って、土地を得る。AもBもCもDも、そのための道具に過ぎない。

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国鉄清算事業団

民営化のメリットは、収益性のある事業が生き残る一方で収益性のない事業が淘汰され、しかも事業の失敗の責任が納税者に転嫁されたりしないことである。望んで出資した出資者の責任で事業を行い、事業者が自発的な判断で経営内容を取捨選択し、さらに新しい事業者の参入が自由に行えること。そして、市場での競争に晒されることが大切だ。

もう一つ大切なのは、公営事業によって垂れ流される赤字によって納税者にそれ以上の損失が発生することを止めることにある。

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売春は最古の商売

売春は最古の商売のひとつであったと言われる。

なるほど、物々交換によって互いの欲しいものを手にしようとする段階より前に、異性に何かを貢いで生殖機会を得ようとする取引があったのかもしれない。つまり、これが最初の売春であり、あるいは婚姻なのだろうというわけだ。

たしかにこのような取引は、ヒトに限定せずとも多くの動物種にみられ、たとえば鳥類の求愛給餌などはよく知られている。オスがメスの気を引くためにエサを運び、メスがそれに応じて交尾に応じるとすれば、そこには取引関係が生じているようにも見える。

暴力的な関係によって生殖機会を得ようとする動物種もまた少なくはない。つまり、オスがメスの合意を待たずに交尾を企てるわけだ。人間社会の言葉を使えば、強姦による生殖ということになる。

ある種の取引関係を構築すれば、そうしない場合よりも長期間、手の込んだ子育てが可能になる。オスとメスの分業が成立すると、それによって生存の可能性が増えるかもしれない。一方、面倒な拘束関係を省略することで、より多くの生殖機会を得ることができる場合もある。

ヒトに関していえばどうやら前者の傾向が強かったようだ、という話になる。実際のところ、どちらの傾向を持つ動物種も進化的に淘汰されずに残っている。つまり、動物一般に関していえばどちらが各段に優位になるというわけではなく、あるニッチにおいては前者が有利になり、別のニッチでは後者が有利になっているわけだ。

分業が成立することで「婚姻関係」が優位に働くこともあれば、分業のメリットが薄く「婚姻関係」が不利に働くこともあるわけだ。

売春は最古の取引のひとつであり、最初の経済活動のひとつらしいということに気づくと、さらに、それは婚姻の原始的なバージョンなのかもしれないということにも気づく。それはヒトに限られた話ではなく進化の系統樹のかなりの広さにわたって見られる話なのかもしれない。また、それは唯一の選択肢ではなさそうだということにも気づく。