ある使途に税金を使うことが正しいと言える必要条件は、それぞれの納税者が徴税されない場合に手に入れるものより、税を介して強制的にそれに投じさせるほうが利益をもたらすことを証明できる場合である。
そのような証明が存在しないならば、それぞれの納税者から他の使途に使う自由を奪うことは正当化できない。もし、そのような証明が存在するならば、強制的に徴税せずとも人々は自発的にその事業に出資するだろう。ゆえに、正しい税金の使い方は、税金を使わないことである。
人々は、徴税されるべきでない。
税金という仕組みは、そもそも正当化できるものではないにも関わらず、納めることがさも当たり前だと信じられている。また納めさせることが正義であるとすら信じられている。だが、それは間違いだ。
あらゆる物事に政府が干渉してしまっている結果、税金がなければ回らないような社会が確かに目の前にある。だが、目の前にある社会というものも回ってはいない。せいぜい将来に負債を積みながら、目の前に喧噪を作り出しているに過ぎない。そこにあものは破綻に向かって突き進むだけで、決して回ってはいない。